ヒロコの備忘録

ベルマーレ好きなアラフィフパート主婦の日記

読書『椿宿の辺りに』

 

椿宿の辺りに

椿宿の辺りに

 

主人公…佐田山幸彦は化粧品会社のメークアップ部門に勤める。

農学部の畜産科出身で痛みや痒みの研究をしていた。

四十肩の右腕が激しく痛む。

ペインクリニックに通う。

 

父が亡くなり実家を相続。

店子の鮫島宙彦氏から手紙をもらって、賃貸契約を打ち切り空き家になっていた。

 

二つ年下の従妹の名は佐田海幸比子。

二人の名は祖父藪彦が命名

祖父には生まれる前に亡くなった兄が存在した。名は道彦。

祖父は弟が活躍する神話から命名したらしい。

 

鮫島宙彦氏からの手紙で初めて下の名前を知る。血縁なのか?

…海子に電話した。海子も知らないが、

「海幸山幸の神話には、もう一人兄弟がいたと思う。」と言う。

「四十肩なら、いい鍼の先生を知っているから行った方がいいよ」とも。

…海子も通っているのだと。

 

海子とイタリア料理のレストランで会う。

鮫島宙彦氏の事を父に尋ねたと言う。

なんでも祖父さんと向こうのお祖母さんが従兄妹同士であるらしい。

海子は膝が痛んでから股関節痛むようになった。リウマチ性多発筋痛症。

ステロイドの対症療法で痛みが治まる。

しかし、痛みが父に移動したように腹痛で入院している。

 

…山彦の痛みも父の死後。痛みが家族の中を移動する?

 

海子が二週間前に左肩を骨折。

山彦は頚椎ヘルニア。

なぜ二人だけに痛みが次から次へと襲ってくるのか?

 

母方の祖母は齢九十過ぎで寝付いている。今度こそ危ないと母が言うので、山彦は有給休暇を取り、母と祖母の家へ。

祖母が反対に体の心配をする。

「佐田のおじいさんがあなたのこと、心配してらしたわ。家の後始末がどうの、と」

「椿宿の稲荷に油揚げを」とも

後一週間くらいの命か?

 

鍼灸院の事を尋ねるため海子に電話すると、

「父がいよいよだめなようなの。大黒?福助?のお迎えが来たって言うのよ」

椿宿の事を尋ねると、

実家のある土地の昔の名では?と言う。

 

山彦は仮縫鍼灸院へ。

仮縫氏の双子の妹亀子と椿宿へ行くことになる。

翌日飛行機に乗り、バスで駅まで。

目的地までの途中で下車。

「椋の木」喫茶店へ。

そこは店子である鮫島宙彦の新居であった。

電話番号案内で亀子が調べていた。

 

2年前、椿宿の家に県の教育委員会歴史調査部より電話が入った。

県内で最も古い家屋なので調査をしたいと。

その家屋は昔、藩の国家老の別邸で、藩主のお家騒動に巻き込まれ、家老一家は自害していた。

これを聞いて宙彦は出る事にしたのだ。

 

宙彦の名付けについては、母竜子の従兄である藪彦から神話の話を聞いていたのでそう名付けたのだと。

その宙彦は現在行方不明。

竜子の運転で椿宿へ。

 

着くと教育委員会の緒方珠子が。

彼女の先祖が国家老の奥女中だったのだと。

文化財保護の為の公園化計画。ダム化計画もある。

三人は一泊して翌朝、囲炉裏をつける。

緒方珠子が再び現れる。

囲炉裏の排気の為天井板を抜くことに。

天井裏には大黒様が。

 

兄弟葛藤。

 

竜子と亀子が行っていた温泉施設で宙彦の行方を知っている人と出会う。

宙彦は治水調査をしている総合建設会社に勤めていた。

亀氏が宙彦に電話をする。

手紙をくれることに。

 

いつのまにか、山彦の痛みは遠のいている。

 

忽然と消えた川跡。

暗渠。

 

帰路。

祖父藪彦の名。

藪は無数の生命体の宿る所。父豊彦から聞かされていた。

大きい豊かな藪になって、小さな兄さんの道を道として成り立たせる。

 

竜子は網掛山(活火山)神奈備に寄る。

そこには江戸時代の大噴火で灰に埋もれて跡形もない神社があった。佐田の家は神主をしていた。

 

 

宙彦の手紙。

古文書「f植物園の巣穴に入りて」を屋根裏で発見。

園丁が大木のうろに誤って落ちる。荒唐無稽な話。語り手は豊彦。

この家での惨劇。

ドッペルゲンガーに、

「為すべきことは家の治水」と言われる。

「それは当面私の任ではない」と突っぱね次世代に送られた。

宙彦は自分の子供が生まれる前に決着をつけなければと思い今の家を出た。

 

前代未聞の洪水が起きたこともあって椿宿から引っ越していた。

 

佐田彦大神…網掛神社に祀られていた三柱のうちの一柱の神。

噴火の後、石造りの大国主の像(大黒…黒い福助)を掘り上げて屋根裏へ。

豊彦は巣穴に入った体験談を残して大黒の下に置いた。

父の記した文書を藪彦は読む。

藪彦は祖先に興味を持ち網掛神社まで辿り着いた。佐田彦大神は稲荷社で祀られる神。陸海の交通の神。

神社消滅後、神主一家は椿宿に移った。

例の事件後に国家老の恨みを鎮める意味もあってこの家で稲荷を祀った。

海幸山幸の物語は海と山との繋がり。

網掛神社ご祭神の一柱、大山津見神は彼らの祖父。海の要素も併せ持つ。

藪彦が孫に海幸山幸を名乗らせたかったのは、生き生きとした生命力の賦活を望んだからではないか。

そして、海幸山幸の話を創作し語り続けた。聞いた母は自分の子供には宙幸彦と付けようと思った。

 

佐田家の藩主一族の兄弟葛藤の悲劇を鎮魂できるとしたら(家の治水)、鍵となる自分、宙幸彦はどう動けばいいのか。

 

市庁舎の建設工事起工式の地鎮祭で出会った神主から、佐田家の子孫を不幸から救済するため調べたいと仮縫鍼灸院から依頼があったと聞く。 

 

海幸比子。

生まれてくる子どものために、何とか「家の治水」の方法を考えようと思っていたが事態は切迫していた。

山幸彦も同じ。

…仮縫氏は地縁と修験仲間のネットワークで調べた。

ほっておかれた小さな稲荷の祠。

…野狐になる。

 

教育委員会の発掘調査でわかったこと。一万年前の南海トラフ地震で出来た天然ダム湖の決壊…椿川が暴れる要因。

為すべきは家の治水→椿宿全体の治水

 

山体は移動を続けている。

崩落の可能性。

家の治水→山幸、海幸の力が必要。

宙彦はどうすれば良い?

 

滑り落ちて行く神社…不安の根源がわかり肚がすわる。

家の治水=神社の再生?

自分自身を救うためにも。

 

 

山彦の手紙 

宙彦の「滑り落ちて行く感覚」に共感。

海子も読む。

「f植物園の巣穴に入りて」は自分自身が体験したことのようだった。

家の治水→海幸山幸の神話。

祖父藪彦のこの世にいない兄との葛藤と乗り越え。

 

海子が聞いたバイエルンの治水。

川の周囲一帯を買い取って何もしない。

自然の回復力を待つ。

 

今にも巨大な地崩れが起きるかもしれない….あの家の敷地を公園にして、一般公開にしてはどうか?

「誰にも予測出来ない事は、言うなれば、ケセラセラ、なるようになれ、ですよ。」

教育委員会の緒方珠子は言う。

その方向へ。

 

家の治水=神社の復活?

庭の稲荷の小さな祠は「後旅所」

御神体は大黒様

 

山彦、海子の痛みも治まりつつある。

仮縫氏の話

「痛みは単に、その箇所だけの痛みにあらず。人間の体は自ら治ろうと進んでいく。」

 

痛みに苦しめられている間は何もできない、この痛みが終わった時点で、本当の自分の人生が始まり、有意義な事が出来るのだと思っていたが、痛みとは生きる手ごたえそのもの。

自分のミッション。

つながっているー死者も正者も、過去も未来も。

 

 

宙彦は家に帰った。

海子は出会った医師とアメリカへ。

海子の父である叔父は退院。

珠子の奮闘で、椿宿の実家の公園化企画が通り、「稲荷社を前庭に置き、網掛神社縁起の立て札を立てる」も了承。

地崩れの観測。

鮫島家の赤ん坊無事誕生。

 

 

 

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感想

一度病院で読んだのに…結局もう一度読んだ感じ。

…少々難しい。

 

空き家になった実家…椿宿の打ち捨てられた稲荷社の小さな神さま。

放っておかれると…

かつてあった兄弟の確執からの悲劇を鎮めていた力が無くなり野狐になってしまう。

 

痛みを通して訴える。

祖父の変わった兄弟関係。

曽祖父の残した古文書(読んだのに…あまりよく覚えてないの…読み直そう😂)

を読んだ宙彦の役割。

海幸山幸の神話。

 

自然災害と再生。

人の体も。

つながり。